減少する植物プランクトン㊦ 10/08/12 (9:08)

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ISAウイルスが拡大 東 周一郎

 これに対して、生物の遺体や排出物を起点として微生物がこれを利用し、さらにそれを他の生き物が利用する食物網がある。前者を生食食物網、後者を腐食食物網と呼ぶ。実際には両者は所々でつながっていて完全に独立したものではない。

 例えば、養殖鮭について次のような情報もある。今ではリベルダーデ界隈の和食レストランでブラジル人客が好んで鮭刺身とか鮭にぎり寿司とかの注文が多いと聞く。筆者と同年輩の人たちとの会話で「自分たちの若いころの日本では鮭の刺身はなかった」と一致している。なぜなら鮭の生肉には虫がいると教えられていたからだ。当時の鮭は荒巻鮭といって塩処理された北海道産鮭の切り身を炭火で焼いて高級惣菜としたものだった。そして学校の遠足には塩鮭入り握りめしだった。

 しかし、注意しなければならない。最近の米国からの情報によれば、FDA(アメリカ食品医薬品局)が環境中に広く偏在する有害物と呼んでいる発がん性のPCBが養殖鮭から検出されて話題になっている。特に養殖魚はPCBが多く入った魚粉を餌にしていると発表があり、養殖業界では餌の改善を迫られている。ブラジル人が好んで食している鮭はチリ産が多く、チリ養殖鮭のほうが汚染リスクは小さいという。

 最新のジェトロの調査報告には、チリ産サケ・マス養殖場に大きな危機感が走っている、とある。2007年に見つかったISAウイルスがその後にも養殖地域全域に拡大して国内のサケ・マス業界は苦境にあえいでいる。ウイルス自体、人体に影響を及ぼさないものの、アトランティック・サーモン(大西洋ザケ)の飼料摂取量が減って成長が遅くなるうえ、感染拡大を防止するには一度水揚げして、一定の期間、水質の浄化を図らないといけないことなどで、影響は長期にわたっている。水の汚染が最大の因であることは間違いない。

 ISAとはカナダ、ノルウェー、スコットランド、チリの養魚場において深刻な損失を与える大西洋サケのウイルス感染症。伝染性サケ貧血の病原因子は伝染性サケ貧血ウイルス(ISAV)をいう。

 チリ漁業省は昨年上半期の統計で養殖サケの水揚げが前年同期比で17%減少したと発表した。種類別では、アトランティック・サーモンが24・2%減少して11万9615トン、ニジマスは12・5%減で7万4619トン。ギンザケのみが2・8増で4万5773トンだった。ア・サーモンはチリ水産物輸出の3割を占め最大級。水産物の輸出先は104か国で、日本と米国への輸出は46・7%で中国、スペイン、ドイツが続きブラジルはまだ少ない。養殖場で発生したISAが拡大すると、今後2年間は日本の市場に大きな混乱がでてくることが予想され、ブラジルでも不足市場で価格高騰する可能性が大きい。

 植物プランクトンの減少については、海洋解析期間を通じてプランクトン量の減少が確認されたのは世界10海域のうち8海域に及んだ。特にもともとプランクトンの多い北極、南極域や赤道に近い熱帯域では影響が大きく、世界全体で見ると減少率は年間約1%に達した。植物プランクトンの減少が地球温暖化、気候変動に拍車がかからなければよいが、と願うばかりである。

 河川などの水質を調査したり、大西洋沿岸の植物プランクトンの状態を調査したり、確かなデータを基に水質状況ランキングなど発表資料のないブラジル。環境省が永久的な調査研究機関を設立して、国全体でもっと真剣に調査を進めて自国沿岸5千キロの自然生態系を保存する規制を構築してほしいと願うものである。(おわり)

2010年8月12日付

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