東京便り 灰色でも有能な小沢氏 10/09/03 (10:19)
9月の声を聞いても猛烈な暑さが続く日本では、その温度をさらに高めるかのような実質上の首相選びとなる民主党の党首選が行われている。出馬しているのは小沢一郎前幹事長と菅直人首相で、久しぶりの大物対決である。選挙戦は始まったばかりで、未だ勝敗の行方は分からない。情勢を見ると、国民の支持は圧倒的に菅首相にあるように見える。それは各報道機関が発表している世論調査なるものを見ると、7割から8割が菅首相支持だからである。ところがインターネット調査では、それが全く逆の結果を示している。例えば読売新聞が行っている「みんなでYES・NO」というネット調査では小沢氏支持が76%になっているし、ロイター通信のネット調査では小沢支持44%、菅支持43%になっている▼この差はどこから来るのだろうか。ネット調査に応じた人は一般の国民というより、新聞やネットからいろいろな情報を得ている人で、政治に相当興味を持っている人たちということが言える。新聞・テレビの世論調査は、無作為に抽出された人が対象で、政治に興味がない人も含まれ、雰囲気に流されやすいという側面がある。こうしたことを勘案すると、ネットの調査は政治玄人、世論調査は素人という区分けが出来、小沢氏は玄人に人気があるということのようだ▼ここに朝日新聞9月2日付の投書欄がある。今回の代表選びについて述べられたものだが、政界をよく見ている玄人と素人の代表とも言える意見である。まず玄人の方は「清潔な無能より灰色の有能を」というタイトルで、75歳の男性の投書。大意は「世論は霞ヶ関と自民党が作り上げたもので、与しやすい菅内閣の存続を願ってのもの。白猫だろうが黒猫だろうがネズミをとるネコがいい猫だ、という鄧小平理論ではないが、クリーンな無能より灰色の有能を選びたい」と訴えている。もう一つは素人の方で、「忠より公の重視で」というタイトル。投書者は75歳の男性。「恩返しを忠とし、国民の利益優先を公とするなら、今回の代表選びには公を優先し、義理人情を退けて国民の目線で選んでほしい」と訴えている。どちらも現在の日本人の気持ちを表している代表的な意見と言えよう。小沢氏は玄人好みの政治家ということかも知れない▼小沢擁護であれ菅擁護であれ、紹介した二つの投書は民主党支持者であろう。同じ投書欄には、「民主党には失望した」という42歳、男性の投書も載っている。「与党になっておたおたと行き当たりばったりの政治しかできない。国民の多くがこの党に望みを託したのに失望した。民主党議員は血を吐く思いで政治に向かってほしい」と、民主党の政治力の無さに怒っている。民主党支持者以外には、今の党首選は茶番にしか映らないようだ▼民主主義のルールは多数決である。民主党が嫌いでも、現在国会で多数を握る民主党の代表が首相になるのを容認せざるを得ない。おそらく多数派を形成している小沢氏が選ばれるだろう、と政界通は読んでいる。もしそうなれば、「灰色でも有能な人」が首相の座に就くということになるのだろうか。(東京支社=瀬頭明男)
2010年9月3日付









