世界通貨戦争とブラジル
10/10/25 (9:05)
世界通貨戦争とブラジル
ブラジルを含める新興諸国は、急激な外資の流入に苦慮し、各国は為替政策の対応に直面している。マンテガ財務相はこの現状を「通貨戦争」と刺激的な言葉で表現したことからまたたく間に世界中に広がった。グローバル経済の競争に加え、リーマンショックの後遺症で世界景気が冷え込んだことで、各国は通貨安によって輸出を拡大しようとしている。最近の国際会議では通貨戦争が中心テーマとなり、その元凶として、中国の人民元やアメリカの金融緩和に矛先が向けられているが、各国は互いの主張を譲らず、先行きが見えない状況となっている。
ブラジルもこの通貨戦争の渦中にあり、長期化するドル安レアル高に歯止めはかかっていない。レアル高は、貿易面では、輸出を妨げ、輸入の増大は国内産業の空洞化を促す。一方で、資本勘定においては経常赤字を補って余りある外資が流れ込んでいる。先進各国の超低金利に対し、ブラジルの高金利やファンダメンタルの安定が外国投資家の大きな魅力となり、巨額資金がブラジルに押し寄せている。ブラジルでは、この外貨の波を「ドルの津波」と呼び、IOF課税程度の防波堤では防ぎ切れない状態になっている。
先進国の金融緩和によってあふれた投資マネーが新興国に向かい、通貨のバランスが崩れているのが現在の国際金融市場である。その根底には金融危機からなかなか回復できない先進諸国とバブルが懸念され始めた新興国のジレンマがある。ブラジルのみならず、新興諸国は資本流入対策としていろいろな抑制措置をとっているが、通貨高は収まらない。国際金融市場の一日当たりの金融取引量は3兆ドルと言われているが、ブラジルの10月の一日当たりの金融為替取引量は3億ドルである。したがって、巨額の国際投資マネーを一国の金融措置で押さえ込むことには自ずと限界がある。すなわち、現状を打開するためには、津波の元を断ち切らなければならない。その元とは国際協調であるが、各国は自国の事情を優先するあまり、足並みはなかなか揃わない。
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