「生活ゴミ」
環境情報を知るたびに、私たちの一番身近の問題の一つにゴミ問題がある。生活や産業で発生するゴミ、廃棄物(一般廃棄物、産業廃棄物)の問題である。ゴミ運搬車が回収して埋め立て処理場に集められるゴミの量は都市部と農村部との差はあるものの、平均して家庭ゴミが約30%、あとは産業廃棄物である。結論を言えば、家庭でも生産部門でも個々に「ゴミを減らす生活の気持ちを持つこと」が大切なことは言うまでもない。
企業の製造責任や市民のゴミの有料化などが少ないため、世界で一番ゴミ焼却炉の数が多い国が日本である。先進国では今、企業の製造責任やゴミの有料化により、ゴミを大幅に削減している。ところが、今回の東日本大震災により発生した廃棄物の量は莫大なもので、これを処分するには10年から20年はかかると言われている。
温暖化の問題がテレビでも取り上げられ、サンパウロでは最近になって大手スーパーのレジ袋がほとんど消え、買い物をダンボール箱に詰め込んで運ぶ様子が見られるようになった。買い物袋は持参するのが当然のことなのだが、いつの間にかスーパー側の過剰サービスが当たり前になっていた。また、街路では色分けした分別ゴミ箱もよく見かけるようになった。
しかし、分別したゴミの処理は、その先の先がどうなるかあまり知られていない。地域の生活水準にもよるが、一人あたりが排出する家庭ゴミの量は平均1キロでその70%が生ゴミと呼ばれる食物残渣(ざんさ)である。1家庭から出るゴミは年間1トンから2トン。また飲食によるゴミは調理をせずに食べられるカップ麺や持ち帰りのファストフード、飲料水をペットボトルや缶に入れたものから冷凍食品容器は、ゴミを多く排出することになる。また野菜や穀類などの食べ残しもゴミとなる。都市への人口集中が続き、生活水準が高くなればなるほど余分なゴミが増えていく。
私たちが暮らしていく上で、ゴミの中で生活できないので、ゴミは必ず発生するものであり、これを日本のように焼却処理した場合でも最終的には焼却灰が発生し、いずれもこれらを埋め立てる場所(最終処分場)が必要になる。ゴミ焼却炉のないブラジルでは、すべてにおいて丘陵地帯の窪地で埋め立て処理をすることになる。生ゴミの混じったミストゴミの埋め立て処理をすれば、必ずメタンガスの発生を考えなければならない。しかも、雨に降られて浸透した汚染水が地下水を汚染する。
ゴミは「燃やせばダイオキシン」、「埋めれば土壌汚染」と言われている。最終処分場へ運び込まれる廃棄物には重金属やダイオキシン類などの有害物質を含むものもあり、このような有害性の高い廃棄物については特別管理廃棄物に区分され、周辺への安全性の確保から特別な構造基準により設置されなければならない。しかしながら、搬入されるゴミは「リッション」と呼ばれる分別もされていないミストゴミが大半である。
最終処分場が設置されている地域が水源地に近い山間部に設定されている場合が多く、水資源への汚染を恐れた市民からは、新設反対や既設改善運動がたびたび起きている。最終処分場の確保については自治体にとっても大きな問題になっている。
このほかに正規の処分を行わず、人目に付きにくいところに捨てる不法投棄も行われている。これは
犯罪だが、直接的な取り締まりが難しいことから、未然防止及び排出者責任を強化しなければならない。廃棄物の中間処理施設か最終処分場に保管されている廃 棄物は、保管しているか、それとも事実上の廃棄なのかのを区別することは現行法では難しく、対応についての行政上の問題も残されている。
不法投棄の対策を抑制するため、2003年度から10年間の時限法である産廃特措法(特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法)が制定 された。不法投棄を取り締まるばかりでなく、生ゴミを分別して発酵処理した後に埋め立てることが義務付けられ、違反団体には罰金を課し、さらに無視した場 合は書類送検するという厳しいものなっている。
落ち葉が20年、繊維が50年で土になるのに対し、多くのプラスチック製品は分解に数千年を要するため、廃棄量そのものを減らす取り組みも必要となっている。
近年は、こうした生活ゴミの問題について自治体の問題だと片付けるのではなく、個々の私たちの生活の中から減ゴミライフスタイルに変えて行くような活動も見られる。ゴミ問題から派生する身近の環境問題に考えられる例が実に多いことを理解いただけると思う。
廃棄物から派生する環境問題には、土壌汚染、地下水汚染、最終処分場土地の確保、海洋投入、底質汚染、不法投棄、レジ袋(非分解)、都市ゴミ戦争、ゴミ屋敷、ゴミ集積所の確保などがある。
環境に優しい生活のあり方は、環境負荷を低くして文明を永続させるための持続可能な発展や持続可能性ということが国際的に叫ばれている。これは「将来の 世代の利益を損なわずに、私たちが発展できるレベル」で経済発展をするという考え方で、特に途上国の開発の問題では頻繁に使われている。
NPO法人「地球村」の調べによると、焼却炉数からみても日本がダントツに多く、世界で一番ゴミを出している証左だという。日本1490、アメリカ 168、フランス100、ドイツ51、スウェーデン21 、イギリス7か所の順で、ブラジルにはまだ焼却炉がない。日本のゴミ焼却量は欧州連合の環境先進国の10倍以上で、ダイオキシン排出量も世界一である。
「4Rゴミ処理原則」という言葉がある。リフューズ(やめる)、リジュース(減らす)、リユース(再使用)、リサイクル(再利用)のことである。
地方自治体で回収したゴミを必ずリサイクルゴミと生ゴミを分別し、生ゴミは一か所に集めてこれを粉砕し、強制通気しながら堆積ゴミを切り返し、好気性発酵させて120日間後に完熟無臭にでき上がった堆肥状態で埋め立てることが求められている。
ゴミは企業責任であり、すべての生産物を最終処分しなければならない。そのため、企業はゴミになるものは作らず、売らなくなる。また市民にもゴミの責任 があり、ゴミの量に応じて処理代を支払わなければならない。そのため、市民がゴミになるものを持ち帰らず買わなくなる。その結果、野菜や卵はスーパーでも バラ売りが当たり前になってくるはずだ。
買い物袋を持って買い物に行くのは当たり前のことで、処理費用の負担はゴミの量に応じて直接負担となるので減量に向けた意識を持つようになるはずだ。
ここで提言したいことは、個人あるいは団体や学校で料理した食物残渣(ざんさ)やさらに残した食物などは、自分たちでダンボール箱で堆肥化して自宅の庭 木手入れに使うことをお勧めしたい。そして地域貢献の面でも会社単位、学校単位でそうした減ゴミ・ライフ・スタイル・キャンペーンを継続していただきたい と願ってやまない。(おわり)
2011年9月1日付