「人口爆発と貧困」 成田修吾
環境問題を調査していくと、「人口爆発」という耳慣れない用語にぶつかることがある。人口爆発は深い関係があり、人口が急激に増加することを指す言葉で、人口がとどまるところを知らず増加する様子を爆弾が爆発することに例えている。
国連が公開する全世界の人口増加数表は、横軸は西暦、縦軸には人口の増加数(単位100万人)で表される。1960年前後の急減は中国における飢饉が原因だが、60年代以降、人口増加数の伸び自体は一定水準にとどまるか、減少していることが読み取れる。
この100年間で第2次世界大戦があったものの、人口が急激に増えている。人口爆発はなぜ起こったのだろうか。人口が増加するとどんな問題が起こるのだろうか。そして、人口が増えるとどのような問題が起こるのだろうか。
100年で人口が2倍以上になれば、「人口爆発」だという。人類の歴史300万年のうち、ほとんどの人口が安定していたと考えられ、約1万年前に農耕を覚えた頃から徐々に人口が増え、産業革命以降さらに加速されている。
世界人口の推移を見ると、西暦元年前後約1億人。西暦1000年前後約2億人、西暦1500年前後には人口爆発して約5億人、1900年には約15億人、現在約66億人と増加を続けている。今の瞬間でも、1秒に3人、1時間に1万人の赤ちゃんが地球のどこかで生まれている勘定だ。
◆工業化により工業生産が増大し、貿易によって他地域の食料と交換できるため、地域の穀物産出能力に縛られることなく人口増大が可能となる。◆技術革新の進展で医療が発達すると同時に、医療サービスの生産量増大が可能となるため死亡率(特に子供の死亡率)が低下する。◆鉄道や蒸気船などにより物流効率が上がり、穀物貿易のコストを低下させ穀物貿易を促進する。◆化学肥料・農機の生産や電力使用により、穀物産出力が高まる、などの複合的な環境状況が重なり合っている。
人口爆発している国は、インド、ソマリア、エチオピア、東南アジア諸国など貧しい国、途上国が多い。一般的には、「貧しいから」「教育が不足しているから」「避妊を知らないから」と考えられているが、果たして実際にはどうだろうか。
自給自足している社会では、人口が安定しているという。食糧の生産、供給量以上に人口が増えることはない。人口増加を起こしている国々は先進国の植民地だった国か、あるいは現在、先進国に「資源」や「換金作物」を輸出している国である。外貨が入ってきて一時的に食糧の供給が増え、人口増加をもたらした。(※換金作物は、コーヒー、紅茶、バナナ、ココヤシ、ゴム、小麦、綿、木材、石油、鉄、ダイヤモンドなど)
人口増加が経済の破綻招く
人口が増えるとより多くの金が必要になり、「人 口増加が経済拡大を呼ぶ」の悪循環が始まり、最後には資源枯渇と環境破壊を招く。エチオピア、ソマリア、ルワンダなどはコーヒー、インドは綿や紅茶やコ ショウ、ブラジルはゴムやコーヒーやサトウキビなどのために人口が爆発し、経済破綻が起っている。
荒れ果てた土地に餓死寸前の人たちがあふれている映像が映し出されるたびに、強く感じる「人口爆発」の原因はやはり貧しさだ、とナレーターは言うが、実は貧困は人口爆発の「結果」なのである。
サンパウロやリオのように都市化による人口移動が出生を増大させ、人口爆発につながるという見方もある。産業革命以後、都市への人口集中が加速 すると若年労働者が農村を離れ、大量に都市へ集中することになった。農村におけるさまざまな道徳・文化・制度的な制約を離れた若者は、都市においてたくさ んの子供を出生することになった。このため、都市では流入人口と共に自然増も増大し人口爆発が起きた。そして貧困の民が集まった貧民街がつくられていく。 この中に強者と弱者の大差がついて、薬物使用者が増えていく環境があることは否定できない。
国連機関が調査した最も豊かな国と最も貧しい国の格差がますます広がっているグラフ表がある。1820年代の格差3対1に対し、1920年 10対1、60年30対1、80年60対1、2000年100対1の推移がある。
経済成長の結果、機械よりも人件費の方が高くなった時に失業者が増え、社会不安から人口増加が抑制される。今、日本だけでなく多くの先進国が同 じような状況になっている。しかし、先進国の消費拡大はますます広がりを見せ、資源や労働を途上国に求められている。結果、途上国では自給自足が滞り、人 口爆発と貧困の悪循環を続けている。つまり、途上国の人口爆発は先進国の人口爆発の輸出と見られている。そして、現状の経済が続く限り、この悪循環で人口 増加は止まらないと言われ、先進国が資源消費を減らすことが求められている。
今、世界各地の先進国で起こっている暴動デモ事件は、先進国が「途上国のために経済支援」などと言いながら、途上国の森林を破壊し工場建設を続 けている。農地の栽培は主食作物から換金作物へと変わり、科学の先端をゆくクローン種の改良やナノテクノジーを使った耐乾燥種、耐病種、耐害虫種などの栽 培技術が進んでいる。しかも、改良された品種の中には交配種といわれ、その種子でなければ作物から取れる種子の2次栽培ができない品種が出回り、種販売会 社が大きな利益を得ることになる。
先進国の労働賃金と都市開発が進む先進国は、土地、資源、労働力が安い途上国へ資金力を生かして大規模な収穫を求めて移動していく。そこでは低 賃金で労働する層と、収穫される農作物を高価に消費する層との貧富の差がますます拡大することになる。こうして人口爆発と貧困はますますひどくなるメカニ ズムが理解いただけるだろう。
私たちにできることは、こうした広い視野を持ち、過剰な買い物を避け、食材などのムダをなくしていくことである。自分だけが実践して馬鹿らしいなどと言わずに、自分から進んで実践していただきたいと思う。
2011年9月21日付