増加するのか、シルバー移住(上) 12/02/02 (9:07)

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 本紙1月21日付社会面に掲載された新潟県から定年退職後、サンジョゼ・ドス・カンポス市に移住した小野塚一石夫妻の記事を読み、思い出したことがある。1986年、日本の通産省が「シルバーコロンビア計画」と名付け、退職者の海外移住を促進しようとした。「豊かな第2の人生を海外で過ごすための海外居住支援事業」と位置付けた。当時はバブル経済で日本中に活気があり、海外駐在経験のあるサラリーマンらを中心に退職後、海外に住む人が増え始めた時期だった▼ところが、この計画が発表された途端、内外から批判を浴びた。国内では宮崎県を始め温暖な地域から「なぜ海外なのか。日本国内でも温暖で物価の安い地域がある」との声が上がり、海外からは「日本政府は老人まで輸出するのか」と揶揄(やゆ)された。このため、同計画は構想だけで終わったのだが、計画は斬新だった。物価の高い日本では年金だけでは優雅で豊かな生活が得られないことから、物価の安い東南アジアやオーストラリアなど日本から比較的近い地域でしかも気候が温暖な地域が候補地として挙げられた。いわゆる「日本人村構想」だった▼以前からブラジルに駐在したことのある公的機関の職員や企業駐在員がこれまでもブラジルに住みついている。ところが、10年ほど前からブラジル政府は、退職者で年金受給者に対して永住権を付与しはじめた。このため、ブラジルに住む子どものそばで暮そうと日本から移住する人が増え始めている。小野塚夫妻もこのケースだ。気候が温暖で地震などの自然災害が比較的少ないうえ、日系人も多く日本食の食材も豊富なことを考えると日本人にとって住みやすい条件が整っている▼その上、数年前までは日本と比較し物価が安く、ある程度の年金があれば、優雅で豊かな生活ができた。ところが、数年来、レアル高が進み、円の価値が半減したことと物価高が重なり、事情が一変した。聖市では不動産価格は東京並みかそれ以上になり、外食、特に日本食レストランの価格は日本以上に高くなり、ブラジルで暮らすメリットが半減したと言っていいだろう。(つづく、鈴)

2011年2月2日付


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